はじめに
ダブルバトル採用率1位、USUM環境の王者として君臨しているガオガエン。メガガルーラメガガルーラをはじめとした物理アタッカーの採用率が落ち込むなど環境に与えた影響も大きいです。しかしガオガエン自身も物理アタッカーであり、威嚇が増えた環境において物理アタッカーである事のデメリットが従来より浮き彫りとなっています。そのため、威嚇を受けても火力が保てる特殊型を考察・運用してみました。
採用理由
- いかく・ねこだましの両立
交代する度に相手2体の物理火力を下げる特性いかく、交代する度に相手の行動を止めて味方をサポートできるねこだまし。ダブルバトルにおいてその存在だけで採用理由になりうるとまで言われる上、発動条件が互いにシナジーしているこの優秀な特性・技を両立出来るのはガオガエンのほかにはカポエラーズルッグズルズキンニャビーニャヒートしか存在しません。
- 優秀な複合タイプ・耐久
いたずらごころ無効・エスパー無効・ゴースト半減・悪半減と貴重な性質を有している悪タイプですが、現環境においては環境に多いフェアリーに不利な事から数を減らしています。しかし、ガオガエンは悪タイプの弱点のうち虫・フェアリーを炎タイプがカバーし、弱点4半減6無効1と比較的優秀な耐性を持っています。
また、炎/悪であることからメガリザードンYメガメタグロスメガゲンガーカプ・ブルルエルフーンカミツルギモロバレルテッカグヤメガクチートトゲデマルギルガルド(シールド)クレセリアゴチルゼルヤレユータンといった多岐にわたる相手に役割を持つ事が出来ます。
さらに弱点のうち物理アタッカーが多い岩・地面・格闘にはことごとくいかくが刺さり、特殊水も環境にはカプ・レヒレトリトドンミロカロスや雨パのアタッカーくらいしかいない(むしろガオガエンが水タイプを増やした)事、H95-B90-D90という優秀な耐久を有している事から中々倒されないタフさを誇ります。
いかく・ねこだましの性質からなるべく繰り出し回数を稼ぎたいガオガエンにとって、生半可な攻撃では倒されないタフネスは非常に重要な要素と言えるでしょう。
- 対カプ・テテフカプ・テテフ性能
ねこだまし使いにとってサイコフィールドでねこだましを封殺してしまうカプ・テテフは天敵です。カポエラーズルッグズルズキンに至っては一致弱点を突かれるため何も出来ず退場する事も珍しくありません。
しかし、ガオガエンの場合、エスパー無効・フェアリー等倍のためタイプ相性面では微有利となり、カプ・テテフ入りの構築にも選出しやすくなります。また、よく組まされるメガメタグロスに対しては圧倒的有利であり、相手からの有効打もじだんだ・アームハンマー・いわなだれぐらいしか存在しません。
なぜ特殊型なのか?
先述した通り、ガオガエン自身があまりに強力であり高い採用率を誇ることからSM環境以上にいかくが飛び交う環境となっており、種族値に沿った物理型ではガオガエン自身も中々火力を保てない現状が存在します。そのため、いかくを何度受けようとも安定した火力を保て、ねっぷうやバークアウトなどの優秀な技も存在する特殊型は奇襲にとどまらない強みを持てます。
(ちなみに、いかく持ちはメガライボルトアメモースを除いて徹底的に物理アタッカー寄りの種族値を持っています。いかくが増えれば増えるほどいかく持ち自身もその煽りを受けるというバランス調整でしょう。)
調整
- 性格
火力を重視してひかえめを採用しています。耐久に厚く降るならおだやか・ずぶといもありです。
- 実数値
180-121-111-145-112-101
- 調整意図
H:4n(バンジのみの回復効率最大、ガーディアン・デ・アローラでバンジのみ確定発動)
C:ぶっぱ
S:追い風下で最速130族抜き
D:余り
B:端数
技
- 確定技
ねっぷうorオーバーヒート
抜群範囲に優れたメインウェポン。ねっぷうは範囲技であることからダメージ効率、オーバーヒートは高威力で決定力に優れます。両採用もあり。
C特化ダブルダメージねっぷう×2体分の火力指数は30994、C特化オーバーヒートの火力指数は28275と
A特化フレアドライブの32940と比較しても見劣りせず、
フレアドライブと違い反動でせっかくの耐久を削ることはありません。
ねっぷうでH181D136ナットレイに56.2%の中乱数1発、オーバーヒートでH164D130メガメタグロスまで確定1発。A特化フレアドライブだと耐久無振りメガメタグロスでも68.7%の中乱数1発で、いかく込みだと余裕で耐えられてしまいます。
※かえんほうしゃ・だいもんじについて
基本的にはねっぷう・バークアウトでダメージレースを優先し、急いで処理したい相手にはオーバーヒートの大火力が欲しいため役に立つ局面は少ないです。ガオガエン自身猫威嚇の性質から交代がアド損になりにくいポケモンであるため、単体炎技は基本的にオーバーヒート推奨です。
バークアウト
追加効果も優秀ながら、通りの良さからダメージソースにもなりうるメインウェポン。いかくで物理アタッカーを牽制しながら呼ぶ特殊アタッカーの火力を根こそぎ落とします。威力の低さは範囲技であるため然程気になりません。
※あくのはどうについて
単純火力はバークアウト2体分とほぼ同等ですが、追加効果に歴然とした差があります。C145の80技ではまともに倒せる相手もほぼおらず(メガゲンガーすら超低乱数です)、他の技を優先した方が良いでしょう。
ねこだまし
採用理由であり確定。Sにそこそこ割いているため、ガオガエン同士のねこだましの撃ち合いでは多くのケースで上を取れてねこだまし猫が通りやすいです。
- 選択技
きあいだま
ガオガエンミラーやメガガルーラなどに。
ほえる
対トリックルーム性能を高めたいなら。
ちょうはつ
補助技全般対策に。ただしメンタルハーブで無効化されてしまうためあまり過信はできません。
よこどり
主に追い風対策。アドを取るよりはおいかぜを防ぐのが主目的となります。
めざめるパワー
氷ならランドロス(霊獣)やメガボーマンダ、地面ならヒードランなどに。地面技はじしんもあり。
とんぼがえり
後続の安全な交代に。役割対象が主力技と被るほか、後攻のためガオガエンにかかる負担が大きく、採用するなら耐久に厚く振りたいです。
まもる
集中攻撃を受けやすいためアドを取りやすいですが、他の技を削って入れるほどかというと微妙です。
持ち物
いかくとはいえ弱点に物理が多いこと、バークアウトの存在により特殊相手ならきのみ発動圏を貫通して倒されることは少ないことから、物理耐久と特殊耐久の双方を伸ばせる半分回復きのみを採用。Aが下がる性格のためフィラのみは採用できません。環境にはDに割いた個体もそこそこ存在することから、バンジのみ(D下降補正の性格で混乱する≒D下降補正ではない)が最も相手に与える情報アドバンテージが少ないと考えバンジのみを採用しました。
運用
トリックルームやおいかぜなどの素早さ操作を戦術に組み込み、サポート後そのまま削りに転じる動きが基本戦術となります。
筆者はメガリザードンYと組ませて運用しましたが、猫追い風から2連晴れねっぷうで制圧したり、メガリザードンYが選出できない相手でもバークアウトで相手の火力を削ぎつつ高耐久で長いターン居座り続けるなど多彩な活躍を見せてくれました。
被ダメージ
A216ランドロスのいかく込みダブルダメじしん
61.1〜73.3%
C161カプ・レヒレのダブルダメだくりゅう
60.0〜71.1%
A216メガメタグロスのかたいツメじだんだ
80.0〜94.4%
相性の良い味方
- メガリザードンY
天候操作と素早さ操作をまとめてこなし、そのままアタッカーに転じられる強力なメガシンカポケモン。両者の水弱点をカバーしつつ、ねこだまし+おいかぜののち上からの2連ねっぷうで制圧可能。
- メガサーナイト
素早さ操作にくわえて定番の相性補完。追い風を採用しないなら素早さは落とすべし。
- ランドロス(スカーフ持ち)
じしんこそ撃てないものの、ダブルいかくで物理アタッカーを機能停止しながら特殊アタッカーをいわなだれ+バークアウトでカモに出来る。
まとめて弱点を突かれるだくりゅうカプ・レヒレ相手ですら一度怯ませてしまえば火力を削げるため対応できる範囲はかなり広い。
- ジャラランガ
ねこだまし+ブレイジングソウルビート。
- 素早さ操作の出来る味方全般
終わりに
特殊ランドロスがいるなら特殊ガオガエンもイケるやろ!という理論で採用した特殊ガオガエンですが、バークアウトがことのほか強力で高い盤面コントロール能力を発揮してくれました。高採用率のポケモンでも研究されつくされてない余地は沢山あるので、皆さんも様々な型を研究してみてはいかがでしょうか。