はじめに
皆様、「物理受け」と言ったらどんなポケモンを思い浮べますか?
多分読者の皆様の中で、色んな世代の、様々なポケモンがトラウマと共に思い浮かんでいるかと思います。
筆者が思い浮かべたのはポリゴン2ポリゴン2と第七世代のムラッけオニゴーリオニゴーリです。にどとくんな。
では、「レイド用」対物理サポーターに限定したらどうでしょうか?
筆者が思い浮かべるのは、まず輝石ウェルカモウェルカモです。
ウェルカモの育成論:育成論SV/1581
輝石持ちの対物理サポーターで、その耐性耐久性能から、対物理レイドの極めて広い範囲(物理系★6レイド約49種類中42種)で選出可能な、輝石ポケモンで随一の性能を誇ります。
今回紹介するのはそのウェルカモ、そして絶対王者ママンボウママンボウとも役割の差別化ができる、最優秀対物理レイドサポーターの1つです。
対物理における選出範囲はウェルカモにほんの僅か及びませんが(約49種類中約38〜41種)、汎用性と器用さと物理耐久を兼ね備えており、輝石ウェルカモ永遠のライバルとも言えるサポーターです。
そう、ラッキーラッキーです。
「はい?????」
「防御種族値たったの5がなんて???」
「頭にブの字付け忘れてません?」
そう思われるのは、当然です。
ラッキーラッキーが物理攻撃に最も弱く、反面特殊攻撃に出鱈目に強いポケモンというのは、経験者の方々であればあるほど、直感と経験でそう理解されているものと思います。
しかし、その直感は今回限り大ハズレです。
テラレイド「だれとでも」(以下、野良レイド)における輝石ラッキーの本領は「物理」です。
圧倒的特殊耐久はおまけにすぎません。
ウソだと思うなら、まず真っ先にステータスとダメージ計算をご覧になると良いかと思います。
その上で、この対物理輝石ラッキーの有用性をうまく伝えられたらと思います。
尚、大前提といたしまして
1.レベル100の理想個体(個体値が32段階中最良)使用
2.HABCDSの略語使用
3.★6野良レイド=アタッカー選出過多かつ長期戦の環境
4.サポーターは、変化技が無効になるシールドを貼られても役割を果たせることが重要
5.野良レイドにおいてはパーティの誰か1体が退場するたび、残り時間が60秒削れる。これは味方全員の行動を合計8〜12ターン奪うことを意味する。よって簡単には退場しない高耐久高耐性であることが求められる。
が大原則にあるとお考えください。
コンセプトと役割
対★6物理レイドおよび一部特殊併用レイドにおける味方の徹底的支援
持ち物
しんかのきせき(絶対固定)
進化前ポケモンの防御特防を1.5倍にします。
これがないと、あらゆる面でハピナスに劣ります。
テラスタル
何でもいいです,どうせ発動しないので。
特性
(味方サポート特化)いやしのこころ
→味方のステータス異常を治します。便利ですね。
(スキルスワップを使わないなら)てんのめぐみ
→技の追加効果発生率を2倍にします。
性格
ずぶといorわんぱく
防御に上方修正がかかり、素早さに下降補正がかからないどちらかです。
実数値と努力値
わんぱくで計算しています
H664(92)-A46-B119(252)-C95-D246-S177(164)
しんかのきせきによりBDは1.5倍のため、事実上
H664-A46-B177-C95-D369-S177
となります。
Sに努力値を164振ることで、レベル90の70族のうち、性格補正がかかっていない相手に先手を取ることができます。これにより、選出範囲がちょっぴり広がります(「苦手な相手」参照)。
そしてこのB177とは、皆さん愛してやまないあのレベル100ポッポポッポと比べてたった2低い程度です。
また、ランクマで大暴れしすぎて次シーズン出禁待った無しの、あのいじっぱりAB振りレベル50ディンルーディンルーと全く同じ数値でもあります。
「いや、ダメだろこれ」
「比較対象のレベル見ろや」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
問題ありません。十分すぎます。
それを次のダメージ計算にてご覧に入れます。
ダメージ計算
ここでは、オノノクスオノノクスのげきりん、そしてファイアローファイアローのテラバースト(特殊・ノーマル)を計算します。
★6オノノクスのA実数値は、★6レイドで一番高いです。 つまりオノノクスの等倍受けをまともにこなせるなら、大体の物理は平気です。
★6オノノクス:げきりん(ドラゴン/物理/威力120)→195〜231(確定4発,乱数3発8.1%)
★6ファイアロー:テラバースト(ノーマル/特殊/威力80)→36〜43(確定20発)
(参考:比較対象ウェルカモ)
げきりん→93〜111(確定4発)
テラバースト→75〜88(確定5発、乱数4発)
この通り、ウェルカモとさして変わらない程度には受け切り、返しのあまえるで以降ダメージ半減にすることが可能です。しかも弱点は、かくとうのみ(※要注意※)と極めて優れた耐性を持ちます。
補足:何でこんな直感に反したダメージ計算になるの?
皆さんご存知かとは思いますが、ラッキーはこの世のものとは思えないHP(種族値250)を誇ります。
野生のラッキーがキノガッサのつばめがえし1発で沈むくらい脆いのは、レベル差もそうですが、努力値も個体値も一切振っていないからです。
それが努力値全振りで輝石まで持ってしまうと、それが例えポッポ程度のB実数値であっても、バチクソ硬い要塞に変貌します。
もっとわかりやすく言うと、初代ポケモンの1番道路に出てくるレベル3ポッポのHPがラッキー並だったと想像してください。
H種族値250のポケモンは、レベル3でも28あります。これはトキワのもり出口に待ち構えるボーイスカウトのLv.9ビードルビードルよりも2高い程度です。
対して、ヒトカゲのHPはせいぜい20です。
こんな化け物ときずぐすりも持たずに出会ってしまった日には、止まないかぜおこしとすなかけと共に目の前もお先も真っ暗になり、ポケモントレーナーの旅は第一話で終了します。
ラッキーの謎の頑丈さに無理やり御納得いただけたところで、次は技構成についてです。
技構成
ラッキーは、ぶったまげるほど大量の技(74から先はめんどくさくて数えるのを止めました)を覚えます。
何をさせたいか、トレーナーがハッキリ意識しないと、その実力は発揮できません。
しかし
・ひやみず(特殊技/みず/追加効果100%でこうげき1段階ダウン。)
→対物理サポーターである以上、この技だけは絶対に絶対に必須です。
ひやみずやワイドブレイカー等、バリア展開後も、相手のAに干渉可能な技を覚えないポケモンは、その時点で「対物理」を名乗ることは原則おこがましいものと思って下さい。
数少ない例外は、くだけるよろいを相手に押し付ける事で恒久的にBを下げ続けるポットデスポットデス。もしくはバリアが非常に薄く、破壊後のプランも考える必要があった、最強ダイケンキ用のハカドッグハカドッグくらいです。
【事実上必須】
・いのちのしずく(味方全体のHPを1/4回復)
→ウェルカモとも、ママンボウとも役割の差別化が出来る理由はこれです。
これを打つ事で、非常事態に使ういやしのエールを温存し、盤面を維持することが可能になります。しかし、気を付けてください。
この技、連打ができません。
なぜならば、この技のモーションはあらゆる技の中で最も遅い(約14.5秒)技の一つです。比較例を出すと、ふいうちの約4倍強です(約3.5秒)。
そこに敵のモーションや、味方が同時に倒れた時特有の硬直などが起こるとを加味すると、1ターン終えるのに約25〜30秒と、ふいうち辺りと比べたら途方もない時間がかかります。
更に悲しい事に、いのちのしずくが必要な味方ほどその回復を待ってはくれず、マルマインより速く自滅します。それが魔境呼ばわりされる、野良レイドです。
繰り返しになりますが、緊急事態には、技の優先度が一番高いいやしのエールの方が有用となります。
・あまえる(変化技/A2段階降下)
→これがないと、序盤の盤面維持が困難になる場合が多々あります。そしてそれは、盤面維持でウェルカモウェルカモに劣る事を意味します。
ただし、★7レイドで登用する場合、この技を外す選択肢は有り得ます(後述)。
【選択技】
あまりに大量の技を覚えるため、特に有用なものだけざっくり紹介します。
・いやしのはどう(他の味方HP1/2回復)
→今回採用したのはこれ。いのちのしずくよりモーションが短いです。1体を生かす意図ならこれです。
・ひかりのかべ
→特殊併用の物理相手にはこれです。
戦場にいる物理一辺倒で特殊に弱い味方はこれで守ります。
・スキルスワップ(特性交換)
→これを採用することで、アーマーガアアーマーガア、そして特殊レイドではありますがタイカイデンタイカイデンも一応対応可能になります。
※この技を採用する場合、まちがえても「てんのめぐみ」であってはいけません。そのせいで負けます。※
・のしかかり(物理攻撃:30%の確率でまひ付与)
→てんのめぐみと併用することで、60%の確率で相手をまひ状態にできます。
・エレキフィールド
→味方をどうしても寝かせたくないなら。
いやしのすずは現状覚えられません。
・あまごい
→採用機会が発生しました。後述。
・じゅうりょく
→タマゴ技。
これも採用機会が発生しました。後述。
立ち回り例
極めて簡単です。
1.即あまえる(スキルスワップ選択時は、そちらが優先)
2.ひやみず連打
3.時々いのちのしずくや選択技
4.ピンチのときは応援
おしまい
これだけで、アタッカーの生存ターンはガッツリ伸びます。まさにサポーター。
得意な相手
★6物理レイド、38種
特にバチンウニバチンウニ、ガブリアスガブリアス、ボーマンダなどの両刀相手は他の誰よりも得意です。
さめはだや特殊技で積み重なるダメージから、パーフェクトに近い形で味方を守ることができます。
また、その異常な特殊耐久により、物理特殊の判断を間違えて選出してもまるで問題ありません。
その豊富な変化技で、むしろ貢献することすらできます。これはウェルカモにもママンボウにも出来ないことです。
出したらダメな相手
おおよそ5種類います。
1.先手でインファイト撃つ56体
具体的にはパルデアケンタロス3種、パーモット、ムクホーク、ヘラクロスヘラクロスです。乱数2発〜確定3発で速やかに処されます。
ちなみにS0振りの場合、これにエルレイドエルレイドが追加されます。これこそがSに164も努力値を振った理由です。
あとハッサムハッサムも鈍足ですが、インファイトを使ってきますので要注意。
追記:ハッサムは中盤からきあいだめを使ってきます。1/2の確率でインファイトが急所に入ることに重々留意する必要があります。
HPの残りを、常に415程度保っておく必要があります。
2.コノヨザルコノヨザル
何があろうと選出してはなりません。
ほぼ確定急所のインファイトは確定2発です。
3.★6カイリューカイリュー
物理レイド最難関。
あまえるひやみず如きでどうにかなる相手ではありません。
コータスゴルダックアラブルタケグレンアルマ等の専用サポーターが必要です。
4.(スキルスワップを覚えてない場合の)★6アーマーガアアーマーガア
→全く役に立ちません。
5.サザンドラサザンドラ、ルガルガン(まひる)ルガルガン、ブロロロームブロロローム
→ダメとは言いませんが、先手挑発でひやみず以外本当に何もさせて貰えません。
尚ブロロロームは、特性がいやしここころである場合に限り、ステータス異常回復の役割も兼ねることができます。
★7レイドでの実績
ご存知の方も多いとは思いますが、この輝石ラッキー、複数の★7レイドにて、既に活躍しています。
最強ゲッコウガゲッコウガ、そして最強ジュナイパージュナイパーです。
前者はこの育成論通りの努力値配分で、ひかりのかべとじゅうりょくを採用したものが、後者はSに努力値92振ることで最強ジュナイパーの先手を取る形で活躍していました。
そして今、最強バクフーンでもサポーターとして大活躍中です。
技構成は、ひやみず/あまごい/ひかりのかべ/いのちのしずく
まずはひかりのかべでコノヨザルコノヨザルを首の皮一枚で守り、次にすかさずあまごいでふんかの威力を半減。
あとはひやみずやいのちのしずくで盤面維持を図っていくという算段です。
何で「対特殊」じゃないの?
Q.輝石ウェルカモ以下の耐久で鈍足なら、Dに252振って対特殊サポーターにすればいいんじゃないの?ひかりのかべだって覚えるし。
A.それだけは絶対に有り得ません。
「対特殊」輝石ラッキーは、サポーターの名を被った自己満足です。
まず★6レイドで特殊技を使ってくるボスはテラバーストを除いて約25体いますが、その中でめいそう等で自身のCを上げてくるのは約10体もいます。
前文にも書いていますが、★6レイドは長期戦です。
ラッキーはひやみずという、バリア展開後も相手のAを下げる技を持ちます。しかもそれを連打できる程度の耐久もあります。
一方、敵の特殊火力から味方を守れる手段は「ひかりのかべ」のみです。一見有用ですが、その程度で味方を最後まで守り切れるほど★6レイドは甘くありません。
第一、壁一枚ごときで守り切れるメンツなら、他の対特殊専用サポーターの面々なら更に安定して守り切る事ができます。
無論、ボーマンダやガブリアス等の、「物理中心の」両刀を役割対象とするならば、ひかりのかべを採用することは十二分に有り得ます。
しかし、出来ることはそこまでです。
繰り返しますが、壁一枚貼った程度では、「対特殊」サポーターとして力不足です。
そして何より一番大事なこと。
サポーターとアタッカーは、共存関係です。
サポーターがどれだけ頑丈でも、ある程度鍛えて、登用場面をそこまで間違えていないアタッカーを生かせないサポーターは存在価値がありません。
具体例を挙げると、ラッキーはそのデタラメなHPとDの高さから、★6特殊レイド最難関であるサーナイトの、サイレント瞑想付きのムーンフォースだって余裕で受け切れます。
しかし、他の味方が耐えきれません。
瞑想持ち、殊更サーナイトの前にはひかりのかべといのちのしずく程度では味方を土台支えられず、バークアウト等の追加効果でCを下げる技か、くろいきり等のリセット技のどちらかが求められます。
要は、ラッキーは耐特殊のサポーターではありますが、対特殊サポーターではないのです。
もしもくろいきりかバークアウトを持っていれば、最強のサポーターとしてママンボウを凌駕する可能性すらありました。
おわりに
輝石ラッキーの育成論を書く予定は、当初全く毛の先ほどもありはしませんでした。
それは筆者が重度末期のポットデス中毒とウェルカモ贔屓だったというのもあるっちゃあありますが、それ以上に、ある条件がつい最近になるまで満たせなかったからです。
筆者はポケモン徹底攻略に育成論を投稿するに際し
実践は最低2桁、最重要役割対象は最低5戦は試し、それでいて勝率6割に届くもののみ投稿しています。
筆者が輝石ラッキーの強さに気付いたのは、最強ゲッコウガ終了間際、その活躍をTwitterで見かけてからです。最強ゲッコウガ終了後、その強さに魅せられ、調整したものを★6レイドで早速実戦に放り込みました。
・・・ところが、勝率どころか実践2桁すら届かず頓挫することになりました。一体どういうことか?
ホストが既にポケモンを決定していた場合を除いたラッキーの戦績は、0戦7解散でした。
びっくりするほど、★6「物理」レイドでは受け入れて貰えませんでした。
輝石ラッキーは、その検証過程で筆者が唯一心が折れたポケモンでした。ウェルカモすら、5戦に3戦は受け入れて貰えていたのにです。
そうなるのは無理もありません。ラッキーは物理耐久に欠けるという経験と直感は、ポケモンを知っているトレーナーは誰でも持っているモノだからです。まさに前文の通りです───これらを否定するには宣伝と、それに足るだけの実績を積み重ねるしかありませんでした。
だからこそ、最強バクフーンでようやく投稿の条件を満たした今、この輝石ラッキーの育成論を投稿させて頂いた次第です。
これを機に、輝石ラッキーへの理解度がもっと高まって、解散率も下がっていけばいいなと思っています。
ではでは。