前注
- 攻撃を「A」と表現するなど、一部のスラングを使用します。わかりにくい箇所があればご指摘ください。
- 本論は既存のチルタリス育成論のフォーク(再考察)となります。
- 本文中では常体文を用います。ご了承ください。
- 論に直接関係の無いお問い合わせや、ポケ徹内のコンテンツ(図鑑など)を閲覧すれば済むような質問等、場合によってはコメントにお答えしない場合があります。
採用理由
- 物理受けを流す。可能であれば処理する。
- その他、火力不足な物理アタッカーを流す。可能であれば処理する。
- 環境の物理受けに対して強いタイプ・種族値を持つ。
ラウドボーンラウドボーンの「フレアソング」、ヘイラッシャヘイラッシャの「アクアブレイク」・「じしん」、その他「ボディプレス」など、物理耐久に頼る環境ポケモンのウェポンを受けやすいドラゴン・ひこうタイプを持つ。また、タイプ相性では不利に見えるが、物理耐久に優れた種族値によりキョジオーンキョジオーンの「しおづけ」も「みがわり」が耐えられる程度のダメージに抑えることができる。
- 「ほのおのうず」・「ほろびのうた」を両立できる。
ゴーストタイプ以外のポケモンの交代を封じつつスリップダメージを与えることができる「ほのおのうず」と、バインド効果とシナジーを持つ「ほろびのうた」を両立することができる。
- 回復技「はねやすめ」を使える。
貴重な即時定数回復である「はねやすめ」を覚えることができる。これにより耐久型としての役割を果たすことができる。
強力なドラゴンポケモンガブリアスサザンドラドラパルトが跋扈している現環境において、敢えてタイプの被るマイナーポケモンを採用するメリットはあまり無い。よって、チルタリスの採用は率直にいって数値的にかなり厳しいといえるのが実情である。本論は「チルタリスだから出来ること」の模索として、上記「物理受け流し」について論ずるものである。フォーク元の育成論との最も大きな違いは、考察を進めた結果この「物理受け流し」へと特化させた点にある。
役割「流し」について
- 「流し」とは基本的に、「こちらが相手の攻撃力を上回る回復力を持つ」あるいは「こちらが相手の回復力を上回る攻撃力を持つ」ことで、「交代or捨て」を相手に強いる(交代しなければ倒される状況を作り出す)役割のことである。
持ち物
- 「たべのこし」
本論では、受け・流しとしての機能をより維持するため、「たべのこし」で確定とする。キョジオーン「しおづけ」対策に「おんみつマント」を採用することにも一考の余地はあるが、「みがわり」で耐えられるのであれば汎用性の高い「たべのこし」で持久力を持たせたほうが使いやすいものと考えた。
特性
- 「しぜんかいふく」
味方にカバルドンを採用するなど、構築の都合で天候の影響を受けたくない場合を除けば、基本的には「しぜんかいふく」を採用する。これによりサイクルを回すなかで状態異常を回復できるため、腐りにくくなる。
努力値調整
- 性格:ずぶとい
- 努力値:244-0-252-0-0-12
シンプルなHB252振りで耐久値を稼ぐ。キョジオーンキョジオーンの「しおづけ」を「みがわり」が耐えられるラインを維持するため、基本的にこれで確定とする。HP実数値を奇数にする目的で浮いた分をSに回し、結果的に4振り80族抜きを実現する。S振りをしていないカイリューカイリューなどに対して上を取ることができるようになる。
テラスタイプ
- はがね
チルタリスの弱点であるフェアリー、こおり、いわ、ドラゴンなどの技を半減することができる。受けられる範囲をこれらのタイプに広げたい場合は「はがね」を採用する。今回はこれを確定欄に掲載しているが、推奨度はこの後触れる「ひこう」と大差ない。 構築と相談して決めればよいだろう。
- ひこう
普通「はねやすめ」を使ったターンはひこうタイプが失われるが、テラスタル中はその影響を受けない。「はねやすめ」中にヘイラッシャヘイラッシャの「じわれ」が当たってしまうことを防ぎたい場合は「ひこう」を採用する。
- ゴースト
カイリューカイリューの「しんそく」や物理受けが持ちがちな「ボディプレス」を無効化できる「ゴースト」も採用の余地がある。ただし、後述のダメージ計算を参照すれば明らかだが、半減にさえ出来ればカイリューの「しんそく」はある程度受けられるほか、カイリューの処理が主目的の型ではないため、今回の推奨度は低め。
技構成
- 「はねやすめ」
- 「ほろびのうた」
- 「ほのおのうず」
- 「みがわり」
「ほのおのうず」で相手を役割対象を拘束し、「ほろびのうた」で処理する。「みがわり」により変化技や一部の技を凌ぎ、「はねやすめ」で体力を維持する。
本論で意図している立ち回りをする上で、これら4つの技はほぼ確定となる。「コットンガード」を採用すれば物理受けとしての性能は高くなるが、本論の主目的はあくまで物理受けを「流す」ことである。よってここでは以上で技構成を確定とする。
運用
- 物理受けポケモンに対して繰り出し、役割遂行を阻害して流す。
- 「ほのおのうず」によるバインドが成功した場合は、「ほろびのうた」で処理していく。
- ラウドボーンラウドボーンの持つゴーストタイプは「ほのおのうず」のバインド効果を受けない。また、「フレアソング」は音を使った攻撃であるため「みがわり」を貫通する。よって、ラウドボーンについては、後述したダメージ計算を参考に「ほろびのうた」で交代を誘うことに徹する。あくまで主目的は「流し」である。
- キョジオーンキョジオーンは「しおづけ」を受けるのを避けるため、初手「みがわり」が安定。「みがわり」が残っている状態で「ほのおのうず」を使えば、そのターンにキョジオーンが交代しなければバインドでき、交代されてもこちらの「みがわり」が残っている状態で後続をバインドできるため「ほろびのうた」に繋げられる。いずれにせよ「流し」を達成する。
- 尚、「ほろびのうた」の最終ターンについて、「ほのおのうず」の使用者側であるチルタリスは交代可能であるので、後続に交代してチルタリスを温存することが望ましい。流した物理受けを後でチルタリスで見る必要がある場合はこれが必須である。
役割関係リスト
主たる役割対象。チルタリスに有効打が無い、あるいは「みがわり」で受け切れるケースが殆どである。「みがわり」を残しつつ流すか、相手が居座ってきた場合は処理可能。物理受けを流すことを主目的とした型であるが、結果的に物理に限らず受けサイクル相手には強く出られる。
副次的な役割対象。チルタリスの弱点を突けない一部の物理アタッカーについては、比較的有利と言える。初手で「ほろびのうた」を使うことで、「つるぎのまい」などで全抜き態勢を整えるのを防ぎつつ流すことが出来る。
役割対象外。物理特殊問わず、ドラゴンタイプを相手にすることは基本的に不可能。上から弱点を突かれて受けが成り立たない。半減に出来るテラスタル(はがね)で詰みの回避程度は出来るが、役割対象外と考えて立ち回るべき。
ダメージ計算
- 「ほのおのうず」以外にダメージソースを持たないので、与えるダメージは省略する。
- 被るダメージ
- 無振りラウドボーンラウドボーンの「フレアソング」
13.2~15.4%
- 無振りラウドボーンラウドボーン(C1段階上昇)の「フレアソング」
19.3~23.2%
- 無振りラウドボーンラウドボーン(C2段階上昇)の「フレアソング」
26.4~30.8%
- 無振りキョジオーンキョジオーンの「しおづけ」
19.8~24.3%
- 無振りヘイラッシャヘイラッシャの「アクアブレイク」
9.9~12.1%
- 無振りヘイラッシャヘイラッシャの「じしん」(はねやすめ中)
16.0~19.3%
- B特化アーマーガアアーマーガア(B2段階上昇)の「ボディプレス」
18.2~21.5%
- A特化カイリューカイリューの「げきりん」(テラスタルにより半減時)
24.8~29.8%
- A特化カイリューカイリュー(ノーマルT)の「しんそく」(テラスタルにより半減時)
16.6~19.8%
- A特化ハッサムハッサム(テクニシャン)の「バレットパンチ」
23.7~28.7%
- A特化ドドゲザンドドゲザンの「ドゲザン」
35.3~41.9%
後続について
- 汎用性の高い耐久ポケモンと相性が良い。
「ほろびのうた」のカウントが0になるターンでの交代先を確保したい。物理・特殊をそれぞれ問題無く受けられるポケモン(キョジオーンドオーハピナスドヒドイデなど)が望ましい。あるいは、タイプ受けが可能な耐性の多いポケモン(サーフゴーなど)を組み合わせる。本論では具体的な後続を指定はしないが、チルタリスのテラスタイプと合わせて、構築全体のバランスが重要となる点は留意する。
受け主体の構築に相性が良いほか、物理受けが重い構築への補完として機能する。
苦手な相手
やることがはっきりしている型であるため、役割対象外のポケモンの相手は基本的に苦手である。特に、チルタリスに有効打を持つ特殊アタッカーと対面した際は、味方に任せて大人しく交代するのが手堅い。
論中にも述べた通り、チルタリス自身は現環境で採用するのがかなり厳しいポケモンであるが、そのようなチルタリスに今の環境で出来る最善の型の一つとして本論の内容を考察し筆を執った。
以上。
- 1月3日18時:「役割関係リスト」および一部のダメージ計算追記。