- 考察は常態で記述します。
- 非公式の用語/略称/当て字を使用します。
- ダメージ計算における瀕死率はすべて命中することを前提として急所込みで計算しています。
- 不適当なタグ/コメントは予告なく削除する場合があります。
Q.なぜスカーフを持たせるのか?
A0.チラチーノが『スカーフポケモン』だから
- A1.チラチーノは殴りたい相手に素早さで負けてしまうことが多いから。
トゲキッスギャラドスリザードンホルード:ダイジェット
ガマゲロゲカジリガメ :すいすい
ヒヒダルマ(ガラル)ホルードウォッシュロトムヒートロトム:スカーフ
パルシェンカメックスポットデスバタフリー:積み技
エースバーンインテレオンコオリッポ(アイス)カマスジョー:速い
上記のポケモンはチラチーノが連続技で高い打点を持てるが、タイプの都合上ダイジェットやすいすい等を展開されることが多く大抵上から殴り倒される。
チラチーノはダイマックス適正が低い(※)のでダイマックス権を切ってまで耐久を引き上げ行動保障を得る選択肢もあまり使いたくはない。
そのため、役割対象を増やすために「こちらもスカーフを巻き上から縛り返す」という選択に至った。
※チラチーノのダイマックス適正
技威力 :連続技はもともと125相当のため、130に上がっても殆ど変わらない
追加効果:主要技がグラスフィールド、砂嵐、特防ダウンとまるでシナジーがない
連続技でなくなる、持ち物を落とせなくなるデメリットが大きい
上記の通りダイマックスしても攻撃面でのメリットがまるで存在しないため、基本的にはダイマックスは使わない方がよい。
拘り解除による起点回避や、チラチーノでの詰めが確定した場面等で使用する。
行動保障のためにタスキを採用しない理由その1。耐久調整も込みでの利点。
タスキではほぼ勝てないドラパルトやタスキ/スカーフドリュウズ相手にはスカーフを持たないと勝てない。
もちろんスカーフでも勝てない構成や条件もあり一概に有利が付くわけではないが、多発するトップメタとの偶発対面でむやみに引く必要が無くなる点は大きい。
- A3.「何より意表が突ける」から。
行動保障のためにタスキを採用しない理由その2。由緒正しい魔法の言葉。
チラチーノのスカーフは想定されないので、エースバーンやスカーフヒヒダルマ(ガラル)も、スカーフを落とされたドラパルトも、殻を破ったパルシェンも、誰も逃げない。
剣盾環境はTOD環境でもあるので、イージーに数的有利を取り得るのは強い。
採用理由
- 先発で様子見蜻蛉or殴りにくる高速低耐久(ドラパルトエースバーンヒヒダルマ(ガラル)等)を上からしばく
不利対面なら蜻蛉してお茶を濁せばいいか、という甘えた初手を咎めに行く
連続技によりエースバーン等が襷を持っていても貫通できる
あくまで上から殴れるだけで、体力MAXのDMエースと対峙して勝てるわけではない点に注意
こちらも連続技によりパルシェン等が襷を持っていても貫通できる
通常の型(鉢巻/珠/タスキ/印)よりは有利を取れないため、牽制の意味合いが強い
型考察
- 持ち物 拘りスカーフ
- 特性 スキルリンク
- 性格 陽気(S+/C-)
- 努力値配分例
H155(36)-A147(252)-B81(4)-x-D84(28)-S174[261](188+)
- 技構成
確定技:タネマシンガン/ロックブラスト/叩き落とす
選択技:スイープビンタ/蜻蛉帰り/電磁波 等
- 努力値考察
A:ぶっぱ
S:[スカーフ]準速(+2)78族ホルードカメックス抜き [通常]最速105族ライボルト/準速120族インテレオン抜き抜き
H-D:ドラパルトC152(252)流星群 最高乱数切り耐え
H-B:ドリュウズA187(252)地震 確定耐え
Aは振り切ってもなお足りないので削ることはできずぶっぱ。
Sは振り切ってもやや過剰気味なことから調整し残りを耐久に回す。
S調整先は250(最+1リザードン)/252(準+2ガマゲロゲカジリガメ)/256(準+1エースバーン)/258(準+1インテレオン)/260(準+2カメックスホルード)/264(準+2トゲキッス)/266(準+2ギャラドス)/268(最+2パルシェンポットデスバタフリー)といったところ。
耐久に回せる努力値は微々たるものだが、上記の配分例ならドラパルトC152(252)流星群やドリュウズA187(252)地震をちょうど(最高乱数切って)耐えるようになるため、この対面での突っ張りに言い訳がきく。
ドラパルトC152(252)流星群:133-157(85.8-101.3%) 乱数1発(10.2%)
A189(252+)ドラゴンアロー:67-79(43.2-51.0%) 乱数1発(11.0%)
ドリュウズA187(252)地震:130-154(83.9-99.4%)
ミミッキュA156(252+)珠じゃれつく:129-152(83.2-98.0%)
ウォッシュロトムC172(252+)ハイドロポンプ:127-151(81.9-97.4%)
ラプラスC150(252+)キョダイセンリツ(130):132-156(85.2-100.6%) 乱数1発(10.2%)
トゲキッスC189(252+)珠マジカルシャイン:133-157(85.8-101.3%) 乱数1発(16.2%)
ホルードA108(252)力持ちダイジェット(130):130-154(83.9-99.4%)
ウオノラゴンA156(252+)頑丈顎エラ噛み(後攻):138-163(89.0-105.2%) 乱数1発(34.1%)
- 技考察
タネマシンガン
スキルリンクによって実質威力125で撃てる。
ウォッシュロトム等の水タイプに刺すほかミミッキュドリュウズへの等倍打点として使う。
ウォッシュロトムH126(4)-B127:22-28(17.5-22.2%) 乱数1発(59.6%)
H157(252)-B174(252+):18-22(11.5-14.0%) オボン込み乱数2発(58.0%)
ガマゲロゲH181(4)-B95:64-76(35.4-42.0%)
カジリガメH165-B111(4):52-64(31.5-38.8%)
パルシェンH126(4)-B200(※殻破後):22-28(17.5-22.2%) 乱数1発(59.6%)
ホルードH161(4)-B97:30-36(18.6-22.4%) 乱数1発(66.2%)
ミミッキュH131(4)-B100:15-18(11.5-13.7%)
ドリュウズH185-B81(4):17-21(9.2-11.4%) 乱数2発(95.7%)
ロックブラスト
スキルリンクによって実質威力125で撃てる。
一致ダイジェット連中やエースバーンヒヒダルマ(ガラル)等に刺していく。
トゲキッスH161(4)-B115:26-32(16.1-19.9%)
ギャラドスH171(4)-B99:30-36(17.5-21.1%) 乱数1発(21.9%)
リザードンH153-B99(4):60-72(39.2-47.1%)
エースバーンH155-B96(4):30-36(19.4-23.2%) 乱数1発(97.1%)
ヒヒダルマ(ガラル)H181(4)-B75:38-46(21.0-25.4%)
叩き落とす
出てきやすい鋼に対しても等倍で通り、追加効果が優秀で一貫性が高い。
ドラパルトへの最高打点でもあるこちらも抜く理由がない。没収されなくて本当によかった。
ドラパルト(持物有)H163-B96(4):112-134(68.7-82.2%)
ギルガルド(シールド)(持物有)H167(252)-B161(4):68-80(40.7-47.9%)
ギルガルド(ブレード)(持物有)H167(252)-B71(4):152-180(91.0-107.8%)
スイープビンタ
一致連続技だが一貫性/命中率に難があり、確定とまでは至らない。
終盤の抜きを重視する場合やダイアタックの起点回避性能を評価するなら。
なお本作ではゴツメ採用率が大きく下がり、接触技であるデメリットはかなり少なくなった。
カビゴンH235-B117(252):18-22(7.7-9.4%)
パッチラゴンH165-B111(4):19-24(11.5-14.5%)
ウオノラゴンH165-B121(4):18-22(10.9-13.3%)
蜻蛉帰り
拘りならこの技といったところではあるが、所詮不一致70技なのでロクな負担を掛けられない。
スカーフバレのリスクも負うため、怪しい対面だからといって安易には打ちづらい。
サザンドラH167-B111(4):70-84(41.9-50.3%)
電磁波
殴って解決しない局面で使用するほか、ダイウォールとしての用途が重要。
トゲキッスギャラドス等の対面時にダイウォール→何か→ダイウォールとしてダイジェット1回で相手DMを切らせ上から倒す。
環境の電気タイプ筆頭であるウォッシュロトムヒートロトムや地面タイプを呼びにくい点も評価点。
選択技に関してはかなり使いどころが限られるため、限定的な打点と割り切ってじゃれつく(サザンドラ)/アクアテール(ドリュウズ)/アイアンテール(ミミッキュ)等の採用も無くはない。
構築・運用
チラチーノには一切の崩し要素が無く、有効打の無いタイプや受けポケモン相手には何もできないと有利不利がはっきりしている。筆頭はナットレイドヒドイデアーマーガア等。
よって受けサイクル系よりは対面系の構築相手に出していくことが望ましい。
またスカーフチラチーノはタスキと異なり体力が減っても役割を遂行できる点が強みであることから、初手から積極的に投げていきたい。相手の先発にドラパルトエースバーンヒヒダルマ(ガラル)ウォッシュロトム等が予想できる場合は尚更。
不利な相手から引く動きが多くなることを想定すると耐久力の高いクッション役が必要になり、相手の構築を抜くパワーを確保するために最後の枠は強力なDMエースと組ませる形に落ち着く。
クッション役は耐久力の無いチラチーノや大事なエースをなるべく無償降臨させられる後攻蜻蛉ルチェンが使えるアーマーガアタイプ:ヌルヒートロトムや、化けの皮による行動保障があるミミッキュが望ましい。
アーマーガアは鉄壁/挑発+羽休めによる詰ませ性能や、鉄壁ボディプレスによる鋼への打点が好相性。
ミミッキュは初手で鬼火/壁ドラパルト等に起点を作られても死に出しから安全にトリルで切り返すことができ、また先制技による削りでチラチーノの足りない火力を補助できる。
私が運用していた並びは下記の形。
チラチーノ+蜻蛉アーマーガア+ダイジェットエース(リザードンパッチラゴン等)
チラチーノ+トリルミミッキュ+トリルエース(ローブシンドサイドン等)
基本的にはよくある先発荒らし役+クッション+エースの並びの先発枠に入る形になる。
正直に言えばこの枠は競合する相手が多くチラチーノを採用する意義があるかと言えばかなり怪しいところだが、チラチーノを好んで使いたいというトレーナーには何とか勧められる程度の性能はあると感じた。
後書き
本論のタイトルは、ポケモン実況者のあみゅ氏が似たような経緯から採用したスカーフアグノムを『信用可能アグノム』と呼称していたところから来ています。
実際、使用率トップのドラパルト相手に引くことなく高い勝率をキープしており、また相手のスカーフに怯えず突っ張ることが出来る点から、従来のチラチーノと比べ明確に信用して先発に投げられます。
チラチーノにスカーフを持たせるという型は旧世代ではあまり見ないものでしたが、剣盾で登場したダイマックスというシステムに対抗するための有力な型だと考えています。
本論が、チラチーノの新たな型開拓の一助になれれば幸いです。
- 謝辞
ダメージ計算はトレーナー天国様の『ダメージ計算機forソード/シールド』(https://pokemon-trainer.net/swsh/damage/)を利用させて頂きました。
旧世代から瀕死率の表示がある点が非常に便利で、連続技絡みのダメージ計算をする際には必須のツールです。
今世代でも対応して頂き大変助かっています。この場を借りてお礼申し上げます。