前置き
育成論への投稿は初となります。
ダブルバトルで運用されるイエッサンは大半が♀ですが、♂にも何か出来ることが無いか模索したところ、全く別の運用方法で大活躍してくれたので紹介いたします。
【2020/7/1 修正】
・技の4枠目をサイコキネシスからワイドフォースに変更しました
・与ダメージ計算にワイドフォースについての記述を追加しました
・サイドチェンジで受けられるとおいしい技の項目を追加しました
・全体の表現を修正しました
- お互いに理想個体を想定とします。
- ダメージ計算はトレーナー天国様のツールをお借りしました。
- 3値(個体値、種族値、努力値)やHABCDSなどの略称を用います。
- ダイマックスは文字数削減のためDMと省略します。
- 念押しとなりますが、ダブルバトル向けの育成論です。
ダブルバトルにおけるイエッサン♂イエッサン♂の役割
ダブルバトルをプレイされる方であれば、イエッサン♀イエッサン♀は何度も見たことがあるかと思います。もしくは、自分のPTで採用している方もいらっしゃることでしょう。
その主な運用目的は概ね下記に集約されると考えています。
- サイコフィールド展開による先制技、悪戯心対策
- このゆびとまれによるエースアタッカーの被弾回避(付随して、相手にゴーストタイプの技を撃たせるのを強烈に牽制する)
- 手助けによる火力補助
ここで、イエッサン♂とイエッサン♀の差異について比較してみます。
- 種族値
イエッサン♂イエッサン♂:60-65-55-105-95-95
イエッサン♀イエッサン♀:70-55-65-95-105-85
♂の方が攻撃型、♀の方が防御型の種族値であることが分かります。また、♂の方が若干S種族値が高いです。
- 覚える技の差異(特に有用である判断したものを抜粋)
イエッサン♂イエッサン♂:トリックルーム/アンコール/おさきにどうぞ
イエッサン♀イエッサン♀:ひかりのかべ/リフレクター/いやしのはどう/いやしのねがい/このゆびとまれ
見ての通り、♀は防御型の補助技を多数習得できます。一方で、♂のみ覚える技で特に注目できるのはトリックルームです。
但し、トリックルームを展開可能なポケモンは多数存在し、かつイエッサン♂イエッサン♂はそれらの中でもかなりS種族値が高く、耐久は比較的低い部類に入るため、一般的には奇襲に近くなります。
一方で、「サイコフィールドを展開しつつトリックルームを起動する」という動き方は当然ながらイエッサン♂イエッサン♂にしか出来ないため、十分な独自性があると言えます。(かのカプ・テテフカプ・テテフであっても出来なかった)
本育成論では、このトリックルームを採用したイエッサン♂イエッサン♂について述べていきます。
イエッサン♂イエッサン♂でトリックルームを起動する意義
先述した通り、イエッサン♂イエッサン♂はトリックルーム起動要員としてはかなりSが高いです。必然的に、イエッサン♂イエッサン♂は起動要員に留まらない他の役割も持たせた方が良いでしょう。また、トリックルームを展開せずとも十分に上を取れることが多いです。
よって、本育成論のイエッサン♂イエッサン♂は原則としてスイッチトリパ的なPT運用が望ましいです。
※スイッチトリパ:相手PTの構成によってトリックルームを展開する戦法/しない戦法を適宜選択するPT
ダブルバトルに蔓延る悪霊サマヨールシャンデラとその対策
現環境のダブルバトルにおいて、トリックルーム展開役を担うことが特に多いポケモンとしてサマヨールサマヨールとシャンデラシャンデラがいます。
以下、それらの代表的な運用方法です。
サマヨール:ドサイドン等と組ませ、地ならしで弱点保険を起動したりサイドチェンジで相方を守ったりする
シャンデラ:相手が高速PTであれば襷で一発耐えてトリックルーム展開。逆に相手がトリックルーム展開してきそう&素で自PTの方が速そうであればトリックルーム封印
勘の鋭い方はお気づきかもしれませんが、イエッサン♂はこの2体が行動するよりも先に封印を撃つことで、機能停止させることが可能です。
対サマヨール:トリックルームとサイドチェンジを封印することで、場への影響力を削ぐ
対シャンデラ:トリックルームを封印される前にシャンデラの封印自体を封印してしまう。2ターン目以降はこちらがトリックルームを展開可能
このイエッサン♂の役割はシャンデラに似ており、相手PTの性質に応じてトリックルームを展開する戦法/しない戦法を適宜選択し、かつサイドチェンジも同時に封印することでサマヨールやトゲキッスによるサイドチェンジ択ゲーを回避します。そのうえで、こちらはサイドチェンジによる択ゲーを相手に強いることが可能です。
トリックルームとサイドチェンジの両方を封印可能なポケモンは、イエッサン♂の他にはギャロップ(ガラル)、ゲンガー、サーナイト、エルレイド、サマヨール、ドータクンを初めとして10体以上存在しますが、サイコメイカーによるフィールド展開とノーマル複合による霊耐性から十分に差別化可能であるとします。
性格・努力値と調整
性格は特段の理由が無い限り臆病とします。また、イカサマが抜群で入ってしまうのでA個体値は可能な限り低い方が好ましいです。
努力値配分とその調整意図は下記の通りです。
- H252(実数値167):極振り
- C118(実数値140):余り
- S140(実数値146):最速シャンデラ抜き
トリックルーム封印をしてくるシャンデラよりも先に行動したいので、Sに厚めに振ります。以下、その他の調整ラインです。
余った努力値をCに振っていますが、好みでBDに振り分けても問題ありません。
具体的な耐久性については後述しますが、イメージとしては下記のとおりです。
- 一致抜群技は耐えられない
- 不一致抜群技は1発は耐える。2発目は無理
- 一致等倍技も同上
- 鉢巻、眼鏡補正ありの一致等倍技は耐えられない
- 範囲攻撃技は(ほぼ全てが等倍技のため)概ね耐える
このため、あまり期待できない耐久調整を施すよりも襷を持たせて行動を保証し、残りをCに振って削り火力を上げた方が好ましいと判断しました。
持ち物
相手の攻撃を一発耐えるために襷で確定とします。
技構成
- 確定枠
トリックルーム
確定枠その1です。相手が高速PTであれば1ターン目に押してしまって問題ありません。
なお、トリックルーム展開の露見を防ぐために1ターン目の段階ではイエッサン♂の隣にいるのは比較的Sの高いポケモンが好ましいです(相方候補は後述)。
サイドチェンジ
ふういん
確定枠その3です。相手のトリックルーム展開およびサイドチェンジによる択ゲーを封じてしまいます。
基本的にはトリックルーム封印目的で初手で押すことになりますが、襷の潰れていないエルフーンや皮の剥がれていないミミッキュなど、1ターン以内に処理することが困難かつ2ターン目にトリックルーム返しをしてきそうなポケモンが場にいる場合は2ターン目に押すのもアリです。
- 選択枠
基本的には自身の攻撃技か、積極的に封印したい技から選択となります。
ワイドフォース
【2020/7/1 更新】
鎧の孤島解禁により習得した、サイコキネシスに代わるメインウェポンです。
通常時の威力は80と、サイコキネシスの90より若干劣りますが、サイコフィールド下で使用すると威力1.5倍、かつダブルバトルであれば2体攻撃となります。
2体攻撃時の補正は0.75倍ですが、単体当たりのダメージは80×1.5×0.75=90と、実質相手2体にサイコキネシスが飛んでいくのと同義です。なんだこれは……
場に出た瞬間にサイコフィールドを展開するイエッサンにお誂え向きの技なので、確定枠をサイコキネシスから変更しました。
ちなみに封印すると相手のイエッサン♂イエッサン♀がほぼ手助けしか打てなくなります。
ハイパーボイス
こちらもタイプ一致技です。フィールドの恩恵を受けず、霊タイプに無効化されますが、2体攻撃でこのゆびとまれで吸われることを回避できます。
また、封印することでニンフィアの火力を大幅に制限することが可能です。
まもる
延命したい場合の選択肢、かつ相手のまもるを使用不能にしたい場合の選択肢となります。
一方で、自身がダメージを全く与えられない、挑発で停止する、ダイウォールやみきりを搭載している相手には無力、といった要素から優先度は低めです。
マジカルフレイム
相手のサザンドラニンフィアジュラルドン等の特殊アタッカーの火力を下げたい場合に候補に入ります。
また、この技を搭載することで本来不利なアイアントナットレイに一矢報いることが可能です。
封印の恩恵はかなり低めです。
シャドーボール
ドレインキッス
サイコキネシス
以前までの確定枠でしたが、ワイドフォース解禁に伴い格下げとしました。まさか初代から不動だったエスパータイプ汎用ウェポンの地位から転落するとは……
相性の良い味方
- 先発
イエッサン♂と並べて出し、初動で火力の押し付けor S関係の優位を確立するための相方候補です。
ドラパルトドラパルト
圧倒的なSにより、上から火力を押し付けることを得意とするトップメタの一角です。
サイコフィールドのおかげで、最近流行のエースバーンの不意打ちを気にせず攻撃技を押せるのも強み。
エースバーンエースバーン
夢特性が解禁されたことで数を増やし始めた御三家の一角です。
基本的な動かし方はほとんどドラパルトと同じですが、こちらはトリックルーム展開よりもトリックルーム封印側の戦法の方が相性がいいと感じています。
- トリックルーム展開中or封印中
高速PTに対してはトリルを展開し、トリックルームPTに対しては封印しつつ、上から高火力を押し付ける流れが基本となります。
バンギラスバンギラス
言わずと知れた強力な物理アタッカーです。
ドラパルトとの相性補完が優れており、交代先としても優秀です。
基本的にはダイマックスを切ってエース的運用をすることになります。
砂嵐で襷が潰れてしまうので、慎重に扱いましょう。
ニンフィアニンフィア
バンギラスと同様、強力なアタッカーです。
こちらはダイマックスを切るよりも、眼鏡を持たせてハイパーボイスを連打する方が相手に掛かる圧力が高くなると考えています。
- 純トリルアタッカーについて
イエッサン♂によるトリックルーム展開は奇襲性が高いことを踏まえて、露見を防ぐために純トリルアタッカー(ドサイドンやダイオウドウなど)をPTに入れるのは避けた方がいいと考えています。
PT構成員は高速(S種族値110以上)と中速(S種族値60前後)で固めると良いと感じています。
立ち回り例
選出例
投稿者が使うパターンの一例を示します。
先発:イエッサン♂@襷 + ドラパルト@脱出パック
控え:バンギラス@弱点保険 + ニンフィア@拘り眼鏡
動かし方の例
- 相手が追い風、ダイジェットから入ってきそうな場合(エルフーンなど)
ドラパルトで流星群を撃って脱出しつつ、イエッサン♂でトリックルームを押してS関係を逆転させます(※フェアリータイプのこのゆびとまれに注意)。
ドラパルトのいた場所には、バンギラスかニンフィアのうち体力が削れても問題なさそうな方か、タイプ受けできそうな方を出します。
2ターン目以降はトリックルームによるS関係の有利を押し付けながら高火力技を連打し、相手を削ります。
その後、トリックルームが切れる直前までは控えの2体バンギラスニンフィアで火力を押し付け、切れる前後にドラパルトを死に出しして最後に生き残った相手ポケモンを掃討する、という流れになります。
- 相手がトリックルームを展開してきそうな場合(特にサマヨール)
イエッサン♂でトリックルームを封印し、相手の展開を阻止します。隣にいるドラパルトはトリックルーム展開役のポケモンを削るように動かします。
2ターン目以降、もしくはドラパルトが落とされた後についても、まずは相手のトリックルーム展開役を落とすように動かします。サイドチェンジも封印できていることがここで活きてきます。
相手の展開役を落とした後は、イエッサン♂はサイドチェンジで盾として雑に消費しても問題ありません。残りのポケモンで上から高火力を押し付けます。
与ダメージ計算
本育成論のイエッサン♂はあくまで補助要員であり、火力を押し付けるのは隣にいるポケモンの仕事です。
ひとまず、最低限の与ダメ計算のみ掲載します。
※全てサイコフィールド下で計算
- ワイドフォース(ダブルダメージ)・サイコキネシス(共に威力90)
無振りドラパルト:59.5%~70.6%(確2)
無振りドリュウズ:29.2%~34.6%(低乱数3)
H252ジュラルドン:37.3%~44.1%(確3)
H252ドヒドイデ:73.9%~87.9%(確2)
H252カビゴン:27.0%~31.8%(確4)
被ダメージ計算
高火力技やDMポケモンの技などについては、基本的に襷で1回耐えることを前提としています。一致抜群技や不一致抜群技の2発目は基本的に耐えられないので、あくまで参考程度に物理・特殊方面でそれぞれどの程度の等倍ダメージが入るのかのラインを示します。
- 物理方面
A特化バンギラスの岩雪崩(ダブルダメージ、アイテム補正なし):50.9%~61.1%(確2)
A特化ミミッキュの珠じゃれつく:82.6%~98.2%(確2)
- 特殊方面
C特化ニンフィアのフェアリースキンハイパーボイス(ダブルダメージ、アイテム補正なし):41.9%~50.3%(超低乱数2)
C252ドラパルトの眼鏡りゅうせいぐん:86.8%~103%(超低乱数1)
サイドチェンジで受けられるとおいしい技
【2020/7/1 追記】
耐久振りと襷所持が矛盾する、とのコメントを頂いたので、サイドチェンジで受けることが有効に働く技について記載します。
下記の技は、サイドチェンジで受けることでイエッサン♂の耐久を対価として味方の生存期間(=仕事ができる時間)を伸ばします。
当然、イエッサン♂の耐久が高ければ有効活用できる期間の期待値も上がるので、受けたい技や守りたい味方の性質と相談してください。
ぶっちゃけ投稿主は細かく考えても仕方ないとしてHに極振りしています
状態異常技
主にバンギラス等の物理アタッカーに飛んでくる鬼火を受けることが有効に働きます。
イエッサン♂への鬼火によるA半減の影響は皆無なので、受け得です。
ねっとう
耐久に厚く振ったミロカロス等の攻撃技として採用される枠です。こちらも物理アタッカーの火傷を予防してくれます。
不一致の役割破壊技
隣にアイアントやシュバルゴがいる状態で飛んでくるかえんほうしゃや、ギャラドスがいる状態で飛んでくる10万ボルト、等を受けられます(撃ってくるのは主にドラパルトを想定)。そのほか、バンギラスに飛んでくる格闘技も等倍で受けられます。
ドラパルトはそもそも役割破壊技を持っているか自体が初見では分かりませんが、このときは「何が飛んでくるか分からないけどとりあえずイエッサン♂で受ける」という心構えで押します。何が飛んできても隣のエースの被弾を回避できればその時点で役目を果たしていますし、それが不一致の役割破壊技であればイエッサン♂でも2耐えする可能性があるので、もう一度択ゲーを迫ることができます。
ゴーストタイプの技全般
こちらは、受けられるとうれしいというよりは相手にゴースト技を撃たせるのを牽制できる、という心理戦を仕掛けられるという考え方になります。
隣にドラパルトやエスパータイプがいる場合が特に顕著で、うかつにゴーストタイプ技を撃つと無効化される恐れがある、という状況を強いることで相手の技選択の幅を狭めます。
当然、受けられればとてもうれしい
苦手なポケモンおよび組み合わせ、戦法
- ゴリランダーゴリランダー
隠れ特性のグラスメイカーが解禁されたことで、イエッサン♂より後からグラスフィールドを展開してきます。また、ゴリランダー自体が猫だましを覚えるため、イエッサン♂の1ターン目の行動を封じられるおそれがあります。
- ジュラルドンジュラルドン
特性すじがねいりにより、サイドチェンジの効果を無視して本来のターゲットに攻撃を当ててきます。
ニンフィアに飛んでくる鋼技やドラパルトに飛んでくる竜技をサイドチェンジで受ける動き方ができなくなるので、要注意です。
DMドリュウズの単体攻撃+バンギラスの岩雪崩と選択されると、トリックルームを展開する間もなく初ターンで落とされてしまいます。仮にドリュウズの攻撃先が隣のポケモンだったとしても、岩雪崩による怯み運ゲーが発生します。
主にカビゴンとの組み合わせが苦手です。生きている限りこのゆびとまれで攻撃を吸われ続け、その間に腹太鼓→キョダイサイセイと動かれると厳しいです。
おわりに
今回初投稿ということで、拙い育成論ですが少しでも対戦における参考となれば幸いです。